生き方の表裏としての働き方改革と菜根譚

生き方の表裏としての働き方改革と菜根譚

新たな働き方を世に問い、仕掛けていく事業を生み広げていくための某グローバル企業での変革ワークショップを終え、ふらりとよった近所の古文書屋のおじいちゃんにすすめてもらった中国名著「菜根譚」。

儒仏道、すなわち表の辞令としての儒教、裏の辞令としての道教、心の調としての仏教の3つの主張を融合させた主張だからか透徹したバランス感。

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(後集:17)
財産や地位を浮雲のようにみなす心構えがあればそれで十分だ。必ずしも深山幽谷に虚を構える必要はない。酒を愛で詩を解する風流心があればそれでよい。肝心の仕事を投げ出してまで風流にのめり込む必要はない。

(前集:81)
趣味は淡白であるべし、だが枯淡に過ぎてはならぬ。節操は厳しく守るべし。だが、奇驕に走ってはならぬ。

(後集:106)
喧騒を嫌い静寂を求めるには人を避けるのがいちばんだと思われているらしい。だが、人を避けようとするのはまだ自我に囚われている証拠であり、静寂に執着するのはすでに心に動揺が兆している証拠ではないか。動も静も忘れ去るのが境地である。
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一連のデザインリサーチ・ワークショップで、本社執行役員から販社社長、企画部門からデザイン部門、上下左右様々な立場と関係性の中で、浮き上がる本音とタテマエ、本社と販社のパワーバランス、変革と保守、そろばんとロマン。それらを乗り越えていく鍵はいかにバランス感に優れたビジョンを引き出し、紡いでいけるか。先を行き過ぎると時代や組織が追いつかないしエッジさが欠けると面白くないのでエネルギーが集まらない。

働き方の変革は経営変革であると当時に、個々人の生き方のビジョンと表裏一体。働き方を自分の生き方の一環として改めて自分の手に取り戻していくという本質を失わず、同時にそれを個人のドライな問題と放り出すのでもない個人と組織のバランス感覚が今、すごく求められてるのではないだろか(特に働き方改革の議論がちぐはぐな感じの日本では)

なんて、明王朝時代の隠れた名著に触れながらふと。