世界に「あいだ」を回復させるレンマ的論理は、地球規模の生態学的危機を乗り越えるOSとなりうるか?〜<あいだ>を開く-レンマの地平/木岡伸夫を読む〜
<あいだ>を開く-レンマの地平/木岡伸夫 とんでもない本に出会ってしまった。 レンマとは、事象を区別し分けていくロゴス的哲学論理に対して、大乗仏教の縁起的・直観的に世界を把握しようとする哲学論理。大乗仏教の祖である龍樹(…
人と情報社会の250年を生態学史観で紐解く(IT全史 / 中野明)
「IT全史ー情報技術の250年を読む/ 中野明」面白かった。とあるお仕事で勉強のために読み始めたのだけど、普通に面白くて一気読みしてしまった。「腕木通信→電信→電話→無線→ラジオ→テレビ→コンピュータ→インターネット→(…
自分の内側から始まるエコロジカルな時代の生き方とは?ティモシー・モートンの型破りな環境哲学
「複数性のエコロジー 人間ならざるものの環境哲学」がとても面白かった。篠原 雅武さんがティモシー・モートンの思想を読み解いた一冊。純粋無垢な自然環境を理想とするが故に、ともすれば個を埋没させていく全体主義的な(人間不在の…
生命は時間を先回りする?型破りな生命科学と西田哲学の交差点(福岡伸一、西田哲学を読む-生命をめぐる思索の旅-)
福岡伸一さんといえば、分解(壊す)と合成(つくる)の同時性に着目しながら、動的平衡という生命の本質的なメカニズムに迫り、旋風を起こしつつある気鋭の生物学者だ。名著「生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)」を読んだことが…
生物メカニズムやらティール組織やらイノベーションやらの徒然
1年前に書いた、イノベーション創造における内部と外部の相互作用の記事。 これ、執筆時にはまだ気づいていなかったのだけれど、実は、この組織内外の相互作用というのは、 新たなアイデアづくりや共創型人材(カタリスト)の育成とい…
2017年のBook of the Year 〜身体知性、散逸構造とゆらぎ、センスオブワンダー
ここのところ自分の思考の変遷を辿るということをしてみているのだけど、その一環で、もはや毎年恒例となっている読んだ本、読んでよかった本の振り返り。こうして振り返ってみると、2017年は、 1.明らかに比重が増えた…
自己変容なしに、変化は機能しない(トランジッション/ウィリアム・ブリッジズ)
トランジッション(ウィリアム・ブリッジズ)、やっぱり面白い。いつだったか覚えていないけど以前にも読んだ時よりも、はるかに鮮やかに感じた。(ちなみに、この本は泣く泣く参加を諦めたジェレミーさんセッション続編の事前図書)ht…
モチベーションの誤解と主体性の鍵 〜 創造性とは何か/川喜田二郎 〜
内的動機やモチベーションと呼ばれるものについて、感じていたことがズバッと表現されていたのでメモ。ーーーー絶対的受け身とは全体の状況が自分に要求するから立ち上がるというもので、この方が実は主体性が高い。主体性については、よ…
自分の内側に広がる宇宙に想いを馳せる 〜 鹿の王/上橋菜穂子 〜
上橋菜穂子さんの「鹿の王」、ただただ面白かった、、、久々にのめり込んだファンタジー。 「人というのは森みたいなとこだ。たくさんの命が一つの身体に住んでいて、それぞれの命を生きながら一つの大きな命をつないでいる」 医療小説…
複雑系の時代を生き抜く知恵 〜 南方熊楠の星の時間/中沢新一 〜
湘南の海を眺めながら週末に読んだ「曼荼羅の思想」、「南方熊楠の星の時間」がなかなか面白かったので備忘メモ。前者は、柳田國男さんなどの研究でも知られる社会学者・鶴見和代さんと、空海や曼荼羅の研究で有名な仏教学者・頼富 本宏…
自然と共生していくための生命的知性としての神道(神道とは何か/鎌田東二)
「地球全体の大いなる営みをよりホリスティックに捉える視点が21世紀のライフスタイルに必要なものの見方であり生活の流儀になっていくのではないか」そんな問いかけを実は多くの人が気付き始めている今の時なんだと思う。グローバル資…
伊豆の黄昏とレイチェルカーソンのセンス・オブ・ワンダー
「沈黙の春」で有名なレイチェルカーソンさんのセンス・オブ・ワンダー。今、このタイミングで、ほんとうに、出会いたかった一冊でした。 (以下、抜粋メモ)・子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと…
ウディアレンと生物学 – 壊す仕組みと動的平衡 –
昔のウディアレン特集を読んでいたら、「やがて宇宙は膨張し爆発してしまう」というウディ映画の代名詞的なセリフに「宇宙が終わるまで待たなくても大丈夫ですよ」と返答する生物学者福岡伸一さんのコラムがとても面白い。 ー…
生き方の表裏としての働き方改革と菜根譚
新たな働き方を世に問い、仕掛けていく事業を生み広げていくための某グローバル企業での変革ワークショップを終え、ふらりとよった近所の古文書屋のおじいちゃんにすすめてもらった中国名著「菜根譚」。儒仏道、すなわち表の辞令としての…
時間は盗まれると死んでしまう(モモ/ミヒャエル・エンデ)
「私はいまの話を、過去に起こったことのように話をしましたね。でもそれを将来起こることとしてお話ししても良かったんですよ」ふと、改めて、ミヒャエルエンデのモモを手に。現代社会の普遍的なテーマを、痛烈に鋭く指摘しながらも、ロ…