
在る(Being)から生成へ(Becoming)〜新たな生命科学と利他、協創(亜種の起源 / 桜田一洋)〜
理化学研究所・桜田一洋さんの「亜種の起源〜苦しみは波のように〜」、素晴らしい本だった。 大まかな内容としては、生命進化の本質をダーウィンのいう「競争」ではなく、ウォレスのいう「協創」や「相互扶助」と捉えた上で、要素分解と…

わかりあえなさから出発するための入門書(死の講義/橋爪大三郎)
死への考察というよりも、人の生き死をテーマに、これまで人類に大きな影響を与えてきたキリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、儒教(・道教)、仏教(・神道)、の五つの宗教における死生観を整理してくれるような本でした。橋爪さん節…

解剖学者・三木成夫に読む、思考偏重な時代の内臓感覚的道標(後編)〜インナーネイチャーとしての陰陽リズム、胎児にみる生命4億年の歴史、自然哲学と象徴思考〜
解剖学者・三木成夫さんのでデビュー作にして伝説的名著「内臓とこころ」 前編では身体の奥深くで生命の根源的な営みを続ける内臓感覚(植物性器官)の成り立ち、こころとの深いつながりをみてきましたが、 後編では、発育過程をなぞり…

解剖学者・三木成夫の「内臓とこころ」に読む、思考偏重な時代を乗り越えるための道標(前編)〜内臓感覚とリズム、季節を感じる心、そして自然(じねん)〜
「人間のこころには4億年かけて進化してきた生命の記憶が刻まれている」「こころとは内蔵された宇宙のリズムである」 胎児の世界などでも著名な解剖学者・三木成夫さんのでデビュー作にして伝説的名著「内臓とこころ」。 三木さんの保…

内蔵感覚をひらき、溶け合う環境に身を委ねる”あわい”の感覚とは?(あわいの力/安田登)
Stay Home中に書き溜めていた読書記録放出シリーズ。今回はあわいの力 / 安田登。能楽師・安田登さんの著書の中でも特に興奮がとまらない一冊で、個人的「こころの3部作」のひとつ。日本芸能の培ってきた身体性やあわいを感…

ヒューマンスケールを越えて – 頭で「分かつ」世界から生命のリズムや流れと「共にある」世界へ – (鎌田東二・ハナムラチカヒロ)
4月くらいからなんだか面白い本との出逢いが多すぎているのですが、週末にいろいろ書き溜めていたものを、順次放出することに。まずはこれ。 ヒューマンスケールを越えて -わたし・聖地・ガイア- / 鎌田東二・ハナムラチカヒロ …

生命や自然をメタファーとすることへの違和感とリジェネラティブ(再生的)な文明装置としての拡張生態系(人新世における都市と建築の新陳代謝-メタメタボリズム宣言 / 船橋真俊 – より)
2013年から森美術館主催で毎年行われてきたICF(Innovation City Forum)の総集編「人は明日どう生きるのか 未来像の更新」面白かった。 集大成となった2019年は「都市と建築の新陳代謝」「ライフスタ…

世界に「あいだ」を回復させるレンマ的論理は、地球規模の生態学的危機を乗り越えるOSとなりうるか?〜<あいだ>を開く-レンマの地平/木岡伸夫を読む〜
<あいだ>を開く-レンマの地平/木岡伸夫 とんでもない本に出会ってしまった。 レンマとは、事象を区別し分けていくロゴス的哲学論理に対して、大乗仏教の縁起的・直観的に世界を把握しようとする哲学論理。大乗仏教の祖である龍樹(…

人と情報社会の250年を生態学史観で紐解く(IT全史 / 中野明)
「IT全史ー情報技術の250年を読む/ 中野明」面白かった。とあるお仕事で勉強のために読み始めたのだけど、普通に面白くて一気読みしてしまった。「腕木通信→電信→電話→無線→ラジオ→テレビ→コンピュータ→インターネット→(…

自分の内側から始まるエコロジカルな時代の生き方とは?ティモシー・モートンの型破りな環境哲学
「複数性のエコロジー 人間ならざるものの環境哲学」がとても面白かった。篠原 雅武さんがティモシー・モートンの思想を読み解いた一冊。純粋無垢な自然環境を理想とするが故に、ともすれば個を埋没させていく全体主義的な(人間不在の…

生命は時間を先回りする?型破りな生命科学と西田哲学の交差点(福岡伸一、西田哲学を読む-生命をめぐる思索の旅-)
福岡伸一さんといえば、分解(壊す)と合成(つくる)の同時性に着目しながら、動的平衡という生命の本質的なメカニズムに迫り、旋風を起こしつつある気鋭の生物学者だ。名著「生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)」を読んだことが…

古典から読み解く「自他非分離の共同体感覚」とは?(変調 「日本の古典」 講義 / 安田登・内田樹)
変調「日本の古典」講義 – 身体で読む伝統・教養・知性 – / 安田登・内田樹 能楽師・安田登さんと武道家・内田樹さんの対談本。 「昔の人の心身のうちに想像的に入り込む」ことを専門とするお二人です…

2017年のBook of the Year 〜身体知性、散逸構造とゆらぎ、センスオブワンダー
ここのところ自分の思考の変遷を辿るということをしてみているのだけど、その一環で、もはや毎年恒例となっている読んだ本、読んでよかった本の振り返り。こうして振り返ってみると、2017年は、 1.明らかに比重が増えた…

自己変容なしに、変化は機能しない(トランジッション/ウィリアム・ブリッジズ)
トランジッション(ウィリアム・ブリッジズ)、やっぱり面白い。いつだったか覚えていないけど以前にも読んだ時よりも、はるかに鮮やかに感じた。(ちなみに、この本は泣く泣く参加を諦めたジェレミーさんセッション続編の事前図書)ht…

モチベーションの誤解と主体性の鍵 〜 創造性とは何か/川喜田二郎 〜
内的動機やモチベーションと呼ばれるものについて、感じていたことがズバッと表現されていたのでメモ。ーーーー絶対的受け身とは全体の状況が自分に要求するから立ち上がるというもので、この方が実は主体性が高い。主体性については、よ…