有機的な自己内省がシステム全体の本質を照らし出す、ということ

有機的な自己内省がシステム全体の本質を照らし出す、ということ

久しぶりにワークショップを主催しました。

100人規模10時間にわたるファシリテーションでしたが、非常に興味深かったのは「対話を通じた自己内省が、collectiveに響き合い、システム全体の本質が自然と浮かび上がってきた」ということでした。

 

「対話」によって生まれる「共創」のエネルギー

ワークショップのテーマは「変革に向けた組織のエンパワーメント」。

「組織変革のための土壌(関係性)を耕すこと」と「その端緒となる施策・仕組みを具体的な企画として創出すること」が求められたワークショップでした。

 

第一部は他者との関係性の中で自己内省を深めていく対話の場

第二部、第三部は得られた現状認識と未来への意志を起点とした創発と結晶化の場

というような構成だったのですが、

非常に良かったのは、第一部の対話の場で生まれた熱量が、場全体としてうまーく集結し、第二部・第三部の共創へのエネルギーとつながっていったこと。

 

参加者が他者との対話の中で自分にとって必要な問いを握り、内省と自己開示が連鎖反応的に起こっていく。

そして、それぞれが目の前の現状を受け入れ、向かっていく方向性(ビジョン)が自然と共有されていく。

 

対話の場では、マインドが変化していくことで、個々人の中に潜在していたエネルギーがうごめき始めますが、そのエネルギーが、場全体として集結していくような感じてした。

個々人の中に起こる自己内省(マインド・チェンジ)が、collevtiveに響き合う中で、増幅的に共創へのエネルギーとつながっていった、創発に向けた場がreadyになっていったなと。

 

有機的な自己内省を通じて、システム全体の本質が現れる

 今回のワークショップで興味深かったのは、

対話を通じた自己内省が、自他の関係性を越え、結果として組織全体の課題が自ずと現れてきたこと。

 

参加者の方からも

「組織の抱える本質的な課題が全てでた。経営陣だけで話すよりも、もっとクリエイティブで、本質的な場だった」

「一体感といった一過性のものではなく、今後の変革につながる深い洞察が組織全体として得られた」

といったコメントを頂いたのですが、ああ確かにそうだなぁと。

 

組織有機的な自己内省とでも呼ぶことにしますが、

他者との関係性の中で自己内省が深まっていき、それがcollectiveに、有機的に響き合うように起こり始めると、そこにシステム全体の本質が自然と現れてくる、ということなのだろうと思います。

これはまさにThich Nhat Hanhの言うInterbeing (相互につながり合っている状態)であり、「世界が幸せでなければ自分も幸せでないし、自分が幸せでなければ世界は幸せになれない」という感覚に近いのではないか、と思います。

対話を通じて生まれたマインド・チェンジの熱量が、そのまま共創へのエネルギーとつながっていった最大の理由はここなんだろうなと。

おそらくcollectiveなセッティングを実現することが大切で、なんというか、まさにcollective impactのように弾力的で有機的な、あるいは一つ一つの細胞が反応し合って、身体を整えていくようなものなんだろうなと思います(複雑系理論?)。

 

 

 

「自分を通じて何が起ころうとしているのかに耳を傾ける」

今回の場づくりは、僕がこれまで手掛けてきた、

・対話型のワークショップ
(HUBでの経験やU理論などをベースに開発したセルフブランディングのプログラムやリフレームダイアローグなど、他者との対話の中で自分の反応や感情を観察することで自己内省を深めていくプログラム)

・創発型のワークショップ
(d-schoolで学んだデザイン思考をベースとしたクリエイティブ系のワークショップ)

という2つのそれぞれ異なる場づくりのエッセンスを掛け合わせたようなワークショップでしたが、「対話」と「創発」のエネルギー的シナジーというのは面白いなと改めて感じました。

 

ここのところ、アダムカヘンのTransformative シナリオプランニングや、Dr. ガンツのコミュニティオーガナイジングといった、社会変革のPhilosophyやMethodologyに振れる機会に恵まれていますが、やはり実際に自分で場をつくってみて学ぶことは非常に多いなと。 

今回は組織内での場でしたが、組織を多様な機能とステークホルダーを含んだ1つのシステムとして捉えるなら、組織を越えたマルチステークホルダーの社会システムにおいても同様なことが起こりうるのではないかと思います。

 

藤田一照さんの言葉を借りれば、「自分を通じて何が起ころうとしているのかに耳を傾ける」そんな時間でした。

 

collectiveな自己内省とシステム変化、少しずつ深めていきたいテーマです。

もう少し無意識的な反応や身体に寄り添ったこともやりたいなと思いつつ。