複雑性の時代に必要なシステム思考の原点(ティッピングポイント/マルコム・グラッドウェル)

複雑性の時代に必要なシステム思考の原点(ティッピングポイント/マルコム・グラッドウェル)

今更ながら、、、マルコム・グラッドウェルのティッピングポイント~いかにして小さな変化が大きな変化を生み出すか~、すっごい面白かった。

社会ムーブメントがキャズムを超えていくためのソーシャルデザインには以前から興味があったし、このTipping Point(あるアイデアや流行もしくは社会的な行動が敷居を超えて一気に流れ出し、感染的に広がる劇的な臨界点)というキーワード、そしてその背景にある視点は、特に複雑性の高い課題へのソーシャルデザインやスケールアウトに、とっても、大切だよなぁと改めて。

この前、富士通実践知センターで企業内アントレプレナーシップについて講演させてもらった時にも気がついたけれど、

Theory Of Changeを「Input→Activity→Output→Outcome」という一連のつながりを可視化することで、社会的変化を起こすために最も効率的なリソース配分と評価を可能にするロードマップだとすると、それを描くのに、このティッピングポイント的な前提認識はめちゃくちゃ重要になるよなぁ。

ものすごい数の社会現象の分析や社会実験事例をもとに、経験則的に導かれているものなので、全てに当てはまるとか個々人の心理や特性が重要でないという議論をするつもりは全くないけど、特に複雑性の高い社会課題を扱う上で、非常に示唆に富んだ本であることは間違いないと思う。

ばらばらとしてますが、一応メモ。(あくまで個人の備忘なので、興味ある方はぜひ原本を読んでみてください。すでに絶版なので、中古がおすすめです)

http://www.amazon.co.jp/dp/4870313944

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・感染現象は環境のささいな要素の変化によって一気に傾き(Tipping)が変わる

・その爆発的感染には「少数者の法則」「粘りの要素」「背景の力」という3原則がある

・80年代~90年代初頭のNY(特にブラウンズヒル地区やイーストニューヨークなどの貧しいエリア)では年間で2000件以上の殺人犯罪と数十万件の重罪事件が起こっていたが、とある臨界点を超えたあたりで、地下鉄の殺人犯罪が3分の1に急激に減少した ー それは、社会の無秩序を象徴する小さなしるし – 落書きと無賃乗車 – を取り締まったことだった

。様々な経済・社会指標の変化の結果として起こったことは事実かもしれないが、ほんの数年の間にここまで感染的で急激な変化が起こったことを説明できる要因は他にはなかった。一見すると取るに足らない生活環境犯罪の取り締まりが、凶悪犯罪激減のティッピングポイントとなる。

・犯罪は無秩序の非可逆的な結果である。窓ガラスのような些細な環境要素であっても、それが割れたまま修理されていなければ、無法状態の雰囲気がたちまちそのビルから向かいのビルに伝わり、ここでは誰も何も気にしていない、何でも許されるという信号を発しはじめる(割れた窓理論/ジェームズ.Q.ウィルソン&ジョージ・ケリング) p173

・人の行動を変える鍵、例えば困っている隣人に救いの手を差し伸べるかどうかの鍵は、時として我々が思っている以上にごく些細な状況の要因、例えばその事件の目撃者が何人いるか、に大きく影響される(eg. 傍観者問題) p42

・ミルグラムの関係の6段階分離説において見落とされがちな重大な発見は、すべての人が自分を除くすべての人とちょうど6段階でつながっているということではない。ごく少数の人間がわずかな段階でその他すべての人とつながっているのである。p53 eg. 少人数の法則(80:20の法則):ポールリヴィアの深夜の騎行、ハッシュハピーの流行、コロラドスプリングズ市での淋病の流行

・イェール大学の学部上級生に破傷風の予防注射を受けるよう説得できるかという実験で、破傷風の恐ろしさを啓蒙した結果、予防接種を実際に受けたのは3%にすぎなかった。とある小さな変更を加えた結果、予防接種率は28%まではねあがった。それは、大学の保健所の位置と受付の時間帯を記載すること。重要なことは、彼らはほとんどが保健所の場所をすでに知っていたということだ。地図と診療時間という情報提示の仕方が、予防注射という情報を実践的かつ個人的な偉業アドバイスへと変化させ、記憶への粘着性を高めた。

・良きサマリア人と神学生の実験において、困った人を助けるかどうかの行動に唯一左右したのは「急いでいるかどうか」であり、心に抱いている確情は行動しているときのその場の背景ほど重要な要因ではなかった。心理状態や個人の意思決定が行動を説明する上で重要ではないということを意味しているのではない。しかし、背景の力は我々が思っている以上に人の行動を説明する大きな要因となっている。

・固有の性格という観点からだけ判断し、状況の役割をなおざりにすると、人間の行動を決定している真の要因を見誤る。人は他人の行動を解釈するとき状況的なヒントよりも人に関するヒントに敏感に反応するよう調律されている、つまり根本的な性格を過大評価し、状況や背景の重要性を過小評価する(根本的属性認識錯誤 Fundumental Attribution Error)

・集団の規模が150人を超えると、トランザクティブメモリーが効率的に機能しなくなり、集団の能力に構造的な障害をもたらす(150人の法則) eg. ゴア・アソシエイツ社の150人戦略

・感染的な運動を生み出すには、まず最初に小さな運動体をたくさんつくらなければならない(感染のパラドックス)

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