種から種へ。自家採種を通じてみえてくる植物の姿と枯れの凄み。[協生農法実験記録⑧]

植物観察家・鈴木純さんの著書「命つながるお野菜の一生」が好きすぎて、色々と観察しながら自家採種。


今回は、ピーマン、ナス、紫蘇、トマト、マリーゴールド、ルッコラ、コリアンダー、蓼藍、バジル、オクラ、ほうき草などなど。

協生農法(およびシネコカルチャー)について
「協生農法(シネコカルチャー)」は、食糧生産と環境破壊のトレードオフや、人か自然かの二元論を乗り越えて、生態系が本来持つ力を多面的・総合的に活用する生態系構築技術(詳細はSony CSLのHP )。学術的には、人の営みが生態系構築および生物多様性の回復に貢献していく「拡張生態系」という考え方に根ざしているそうです。(株)桜自然塾の大塚隆氏によって原型の創 案がなされ、Sony CSLの舩橋真俊氏によって学術的定式化がなされています。

ご興味ある方はEcological Memesでの記事やセッションの様子もご覧ください。
生態系の“あいだ”を回復・構築する「協生農法」とは?
地球の生態系に包摂された生命として人はどう生きるのか 〜自然と人の“あいだ”を取り戻す協生農法〜
EMF21レポート② シネコカルチャー(協生農法)とは何か【前編】
人間と自然の共繁栄のかたち。生態系を拡張させる「協生農法」の実践
・拡張生態系のパラダイム – シネコカルチャーの社会実装の契機をさぐる-(舩橋真俊氏) 

【シネコカルチャー実験記録の記事一覧】
耕作放棄地で協生農法をはじめました[シネコカルチャー実験記録①]
植物は生長に必要な物資を自ら調達する~横に伸びるトマトと協生農法実践マニュアル~[シネコカルチャー実験記録②]
遠野で協生農園を訪問。美しき緑の焚き火。[シネコカルチャー実験記録③]
畝をつくらない区画をつくってみた。[シネコカルチャー実験記録④]
結実過程のドラマ。オクラ、ピーマン、トマト、ジャガイモほか。[シネコカルチャー実験記録④]
全36科87種。Scrapboxで協生菜園の植生リストをつくってみました。[シネコカルチャー実験記録⑤]
二子玉川のコミュニティ畑プロジェクト「タマリバタケ」で協生農法はじまります [シネコカルチャー実験記録⑥]
ベランダでもできる小さな生態系観察。協生プランターのすすめ [シネコカルチャー実験記録⑦]
種から種へ。自家採種を通じてみえてくる植物の姿と枯れの凄み。[シネコカルチャー実験記録⑧]
・タマリバタケの協生菜園のその後<秋分〜冬至>[シネコカルチャー実験記録⑨]
協生菜園で育てた蓼藍で生葉染め、そして種取り。植物の生命力を身にまとう。[シネコカルチャー実験記録10]
・協生菜園に春がきた<タマリバタケの冬至〜春分>[シネコカルチャー実験記録11]
協生農法の生みの親・野人ムーさんのところに行ってきました[シネコカルチャー実験記録12]
無肥料・無農薬でも虫に食われないのはなぜか。混生密生の多様性がもたらす縁起と恵みの実感。[シネコカルチャー実験記録13]
※このブログは、個人の実験的な観察・実践記録であり、公式なやり方や内容を記載しているものではありません。

もちろん来季の種まきに向けて、というのもあるのですが、それ以上に、種をめぐる植物の営み、とても面白いのです。

収穫して終わり、というのではなく、種取り用にその後の様子を観察し続けていくと、

それぞれの植物たちの花や実が枯れ、種をつくっていく過程や発芽に向けた作戦が垣間見えたり、

これまで出会ったことのない新たな姿、次の種へと生命をつなでいく植物たちの営みと出会えたりして、

僕らが普段収穫までにみていた姿は植物の生命活動のごくごく一部に過ぎなかったんだなと実感します。

夏の収穫時にこんな姿だった野菜たちが、収穫をせずにおくと、少しづつ姿を変えていきます。

ピーマン(この写真は子どもピーマン)は、左下のように赤くなってきます。

僕らが普段いただいている緑色のピーマンは実はまだ未熟の状態で、熟すと赤くなるんですね。

赤くなってくると、緑の時は割とふにゃふにゃだった種が少しづつ固くしっかりしてきます。

オクラも収穫適期をすぎると次第に固く、茶色に。

割れてきた鞘をひらくと、5つに別れている部屋それぞれにオクラの種がきれいに並びます。

ナスも実が茶色く柔らかくなるまで熟したら、水の入ったバケツの中などで中に入っている黒い種を取り出します。

トマトは、面白くて種が発芽抑制物質が含まれたゼリー状ものに包まれています。収穫適期から1-2週間ほど追熟させた後、ゼリーごと取り出して、1-2日常温で発酵させます。そう、発酵!

やったのは夏場なので、2日もすれば発酵してきて、カビたちも。こうすることで、ゼリー状のぬめりがとれやすくなるので、水洗いし、乾燥させて保存します。

時には、とう立ちして花穂をつける赤紫蘇の美しさにはっとしたり。

生葉染めでお世話になったタデアイの小さくとても可愛い花もお気に入り。

ハチさん。

花が枯れると茶色っぽくなってきて、中には黒い種が見え隠れするようになります。
枯れ切ったら干して乾燥。

あとはイネ科、ほうき草。

茎の中からよっこいしょとでてきて、ぐんぐん伸びて、穂を垂らす。若い生命エネルギーから次第に落ち着いた長老のようなエネルギーに変わっていく感じがとても面白いです。たくさん種が増やせたので、来年はほうき作りにチャレンジしたいところ。

花咲くのみならず、枯れゆくを驚け

あと、自家採取をするようになってからひしひしと感じるのは、枯れることのすごさ。枯れゆく美しさ。

自然哲学体系「三語」で有名な三浦梅園の「枯れ木に花咲くを驚くより、生木に花咲くを驚け」というセンス・オブ・ワンダー溢れる言葉がとても好きなのですが、

生木に花咲くにはきっと、自然のままに枯れゆくを驚け、ということも含まれているのではないかと思うのです。

僕たちは枯れた植物をみると、あぁ枯れてしまったねとどこか後ろ向きにみてしまうところがあると思うのですが、

植物たちは、青々と生長させていた花や実や葉を次第に枯らして、次の子孫へといのちをつなぐために、種に栄養を凝縮させます(葉物をいただく時に、花をつける前の方が美味しいというのは栄養が花や種にもってかれてしまうためですね)。

生と死が切り離せないのと同様に、枯れることこそ、未来にいのちをつなぐ生命活動の根幹でもあることを植物たちは教えてくれます。

枯れる姿に、儚さとはまた違った、生命の営みの美しさを感じるようになったのは面白い変化でした。

そして、オクラみたいにカラカラ・カッチカチになるまで種を乾燥させるものもあれば、トマトのように発芽を抑制するゼリーに種を包んでおくWetなもののあったりと、種を未来につないでいくためのそれぞれの戦略が垣間見えたりもして。


そこにはこれまで以上にドラマチックな、命をつないでいく植物の姿がありました。

コリアンダー

踊っているかのよう。採種はとっても楽ちんです。
コリアンダーの種。この姿に戻ってきました。感慨深い…
まく時は殻を割って2つに分けると発芽しやすいです。

続いて、鮮やかな花を咲かせるマリーゴールド。

センチュウ防止のコンパニオンプランツとしても大活躍です。

枯れた後そのままにしておくと、次第に黒くなっていきます。
すると、中にはみたことのある種が。花弁1枚1枚と対応しているようにみえます。
またこの姿に戻ってきました。ちなみにマリーゴールドは挿木でも増やせます。

バジル

拡大してみると、、この中に隠れている黒い粒が種のようです。
佇まいが妙に可愛い。が、シソ科やアイ科は種を鞘から出して取り分けるのがめちゃくちゃ手間のかかる作業です…

ということで、種から種へ。

これでまた、ひとめぐり。

同じ種の姿に戻ってきたようにみえて、そこには新たな生命のバトンが確かに受け継がれていると思うと、感慨深いです。

なお、いろいろな種類の植物を植えて、多様な植生をつくる協生農法では、種類を増やしたり、自然環境によって生じた揺らぎを吸収できるように苗をスタンバイさせておくのですが、

ホームセンターなどで購入するのはコストもかかるし、季節の流通にかなり左右されてしまいます。

ので、費用的にもタイミング的にも(流通にかなり左右されるので)自家栽培でまかなえるとよきです。

秋冬verの苗たち

協生農法実践マニュアルには、

「自然環境の揺らぎによって、作物には出来不出来が生じるが、その揺らぎを吸収できるような苗の供給体制を整えることで生産の安定と効率化を測ることができる」

といった苗戦略の記述もあります。

もちろんこぼれ種でいけるものもありますが、自然植生の野草たちに先回りするという意味では、時期を選んで種まきを仕掛けることも大事。

コリアンダーなど一部はもう今年の秋まきで撒いてしまっているものもありますが、多くはまた来年。固定種とF1と、それぞれ来年はどんな姿をみせてくれるのか今から楽しみです。

「命つながるお野菜の一生」、鈴木さんの植物への好奇心と愛に溢れた言葉と写真によって様々な植物の生命の旅路にいざなわれる本当に素晴らしい本ですので、ぜひ手に取って読んでみてください。Ecological Memesでも一度お話し伺いたいなぁ。

種から種へ 命つながるお野菜の一生

日々の協生農法実験の様子(およびぬか床生活の記録)はインスタにて↓↓↓
@Regenukalife