自分の内側に広がる宇宙に想いを馳せる 〜 鹿の王/上橋菜穂子 〜

上橋菜穂子さんの「鹿の王」、ただただ面白かった、、、久々にのめり込んだファンタジー。

「人というのは森みたいなとこだ。たくさんの命が一つの身体に住んでいて、それぞれの命を生きながら一つの大きな命をつないでいる」

医療小説でありながら、ウイルスや菌のあり方を人や社会と重ね合わせた壮大な世界観とか、自分の内側の宇宙(マイクロコスモス)に広がっていくような文化人類学的な問いかけにあふれている。多くの人と分かち合いたいなぁと思う小説。

「光る葉っぱにしてみれば、病素は恐ろしい病の種だが、病素からみれば、葉は自分の命を支える世界なのだろう。どちらかが主役とも言えぬ、奇妙で複雑な営みが、目に見えぬところで、静かに繰り広げられ、巡っていく」

「身体も国もひとかたまりの何かであるような気がするが、実はそうではないのだろう。雑多な小さな命がより集まり、それぞれの命をいきながら、いつしか渾然一体となって、一つの大きな命をつないでいるだけなのだ。そういう大きな理の中に、我々は生まれ、そして、消えていく。」

そして、物語の着想そのものがもう最高。

「人は、自分の身体の内側で何が起きて入るのかを知ることができない」ということ、「人(あるいは生物)の身体は、細菌やらウイルスやらが日々共生したり葛藤してりして入る場でもある」ということそして、「それって、社会にも似ている」ということ、この三つが重なったとき、ぐん、と物語が生まれでできたのでした」(あとがき)

これだから小説はやめられない、、、