モチベーションの誤解と主体性の鍵 〜 創造性とは何か/川喜田二郎 〜

モチベーションの誤解と主体性の鍵 〜 創造性とは何か/川喜田二郎 〜

内的動機やモチベーションと呼ばれるものについて、感じていたことがズバッと表現されていたのでメモ。

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絶対的受け身とは全体の状況が自分に要求するから立ち上がるというもので、この方が実は主体性が高い。主体性については、よく人に強いられてやるのは主体的ではないといわれるがそれは一般論であって、本当は全体状況が自分にやれと迫るから、やらざるを得ないという方が、じつは真に主体的だ。

自分がやりたいからやるんだという方がいかにも格好いいように見えるけれども、その方が実は精神的に消耗が大きい。無理に自分を燃え立たせているという、何か不自然さがある。ところが全体状況でやらざるをえないとなってくると、強いられていると言えば強いられているとも受け取れるけれど、何か気が楽なのである。つまり自分と状況が一致しているということで、状況の外に自分がいて、外から状況をみているということではなく、自分の内側にも状況を持っているということでその状況の中から自分の主体性が導き出されてくるので、むしろ作為性が少ない。

 

(中略)

 

ここから出てくる問題は、全体状況を一つ一つの部分の足し算としてではなく、総体として集約的にとらえる能力がなければだめだということである。言葉を変えて言えば、状況全体がわからない人間、その部分部分だけを大写しにしてしか受け取れないような人には天命は聞こえてこないということである。だからこそフィールドに出てデータを集めるという現状把握の段階をちゃんとやることが創造的な行為には不可欠なのであるし、全体状況の把握なしに絶対感のある受け身は生まれてこないということである。

 

(中略)

 

「人知の「計らい」に固執する浅はかさを捨てた角度から物事の成り行きをみてみるとそこには自然の流れというものがある。実はそれこそが一人ひとりの人生にとって大切なものであり現代文明にとっても大事なものである」

 

(川喜田二郎/創造性とは何か)

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KJ法のことばかりが知られているけれど、改めて、文化人類学者として本当に優れた方だなぁ。