耕作放棄地で協生農法をはじめました[協生農法実験記録①]

「そこは土も日当たりも悪いから作物もなかなか育たねぇ場所だよ」

2019年のEcological Memes フォーラム「あいだの回復」でセッションをやっていただいて以来、すっかりファンになってしまい、まずは自分がやってみないと、ということでプランターで小さく色々と実験していた協生農法。

自宅前の手付かずの耕作放棄地だった場所を地主(有機農家)さんにお借りして、プランターで育てていた苗など移植してようやく地植えで小さな協生農法の菜園をはじめました。(といっても、植性が生物学的最適化状態の土壌構造が実現されるまでは協生農法とは言えず、移行期間でしかないのですが)

協生農法(およびシネコカルチャー)について
「協生農法(シネコカルチャー)」は、食糧生産と環境破壊のトレードオフや、人か自然かの二元論を乗り越えて、生態系が本来持つ力を多面的・総合的に活用する生態系構築技術(詳細はSony CSLのHP )。学術的には、人の営みが生態系構築および生物多様性の回復に貢献していく「拡張生態系」という考え方に根ざしています。(株)桜自然塾の大塚隆氏によって原型が創られ、Sony CSLの舩橋真俊氏によって学術的定式化がなされています。

ご興味ある方はEcological Memesで開催しているセッションの様子や記事もご覧ください。
生態系の“あいだ”を回復・構築する「協生農法」とは?
地球の生態系に包摂された生命として人はどう生きるのか 〜自然と人の“あいだ”を取り戻す協生農法〜
EMF21レポート② シネコカルチャー(協生農法)とは何か【前編】
人間と自然の共繁栄のかたち。生態系を拡張させる「協生農法」の実践
・拡張生態系のパラダイム – シネコカルチャーの社会実装の契機をさぐる-(舩橋真俊氏) 

【シネコカルチャー実験記録の記事一覧】
耕作放棄地で協生農法をはじめました[シネコカルチャー実験記録①]
植物は生長に必要な物資を自ら調達する~横に伸びるトマトと協生農法実践マニュアル~[シネコカルチャー実験記録②]
遠野で協生農園を訪問。美しき緑の焚き火。[シネコカルチャー実験記録③]
畝をつくらない区画をつくってみた。[シネコカルチャー実験記録④]
結実過程のドラマ。オクラ、ピーマン、トマト、ジャガイモほか。[シネコカルチャー実験記録④]
全36科87種。Scrapboxで協生菜園の植生リストをつくってみました。[シネコカルチャー実験記録⑤]
二子玉川のコミュニティ畑プロジェクト「タマリバタケ」で協生農法はじまります [シネコカルチャー実験記録⑥]
ベランダでもできる小さな生態系観察。協生プランターのすすめ [シネコカルチャー実験記録⑦]
種から種へ。自家採種を通じてみえてくる植物の姿と枯れの凄み。[シネコカルチャー実験記録⑧]
タマリバタケの協生菜園のその後<秋分〜冬至>[シネコカルチャー実験記録⑨]
協生菜園で育てた蓼藍で生葉染め、そして種取り。植物の生命力を身にまとう。[シネコカルチャー実験記録10]
協生菜園に春がきた<タマリバタケの冬至〜春分>[シネコカルチャー実験記録11]
協生農法の生みの親・野人ムーさんのところに行ってきました[シネコカルチャー実験記録12]
無肥料・無農薬でも虫に食われないのはなぜか。混生密生の多様性がもたらす縁起と恵みの実感。[シネコカルチャー実験記録13]
埼玉・春日部の農園で協生農法をご一緒にやりたい方を募集しています。[シネコカルチャー実験記録14]
春日部にて協生圃場プロジェクトがスタート。秋分の集いにて[シネコカルチャー実験記録15]
不耕起栽培、ゲイブ・ブラウンの土を育てる、拡張生態系における人の役割と希望。
混生密生の世界と収穫による生態系への介入[協生農法実験記録17]
かすかべ協生農園のお野菜詰め合わせセット販売
※このブログは、個人の実験的な観察・実践記録であり、公式なやり方や内容を記載しているものではありません。

右上の二つが小さく実験していた協生農法プランター。あとは育てていた各種苗を移植。

地主さんからは冒頭のように言われていた土地でしたが、鳥や虫たちも増えてきて、多種多様の混生密生にはまだ程遠いけれど、なんとか少しずつそれらしくなってきました。(「鳥が増えたわね」とか「処分に困っているのでよければうちのお花もらっていただけませんか」とかこれをきっかけにご近所付き合いも深まったり)

がしかし、地植えにした途端、虫食いといいありとあらゆる草たちとの競争といい一気に難易度と複雑性が上がった感じ。。葉物を間引き収穫してしまったこともあるけど一気に青虫さんたちがお召し上がりになって少し寂しくなってしまいました。

2021.05.16 苗の植え付け前
2021.05.16 苗植え付け後
栽培計画をたてたら果樹を中心に花や野菜の苗を植え、嫌光性の種を埋め、好光性の種は多様種を混ぜてばらまきにする。できるだけ多くの科を混ぜる。あと地衣類・苔類も。

無耕作、無施肥、無農薬。

だけでなく、協生農法には「人間が持ち込むことができるのは苗と種のみである」という原則があります(灌水も原則しない)。

さらには、自然循環が成立する上で介入すべきでない「構造」と、介入可能な「揺らぎ」という考え方があって、土壌などは介入すべきではない構造にあたる。なので、耕さなくても、草を全て抜いて表土を露出させた場合は土壌構造を形成する根系が失われるため、全除草も構造への介入になる。

上手く大きく育てたい、コントロールしたいという人のエゴと日々向き合う修行でもあり、同時に、私たちが現代社会の中で無意識に刷り込まれてしまっている植物や生態系との一方的な関わり方から抜け出して、新たな関係性を構築していくための実践なのだなぁとつくづく感じます。

数ヶ月後にはどうなっているかなぁ。協生農法の実践マニュアルが素晴らしいので、次回はそのことを。

協生農法を実験記録用(およびぬか床記録用)のInstaをはじめました。

2021.05.21
まいた種が芽吹いてくると様相が少しづつ変わっていく