無肥料・無農薬と虫たちと。混生密生の多様性がもたらす縁起と恵みの実感。[シネコカルチャー実験記録13]

Photo by Naoki Kaji

最近畑や農をやられている方や協生農法に興味を持っている方が協生菜園をみにこられることが増えたのですが、肥料も農薬も使わず、よくこんなに虫食いなく立派に育ちますねと結構驚かれます。

協生農法ばっかりやっているので他のことはあまりわからないですが、確かに無農薬なのに葉物も虫食いがほとんどない。しかも美味しい(自分たちでつくってるというのを差し引いてもたぶん美味しいと思うw)

日々観察し続けて、ほんの少しだけ手を添えさせてもらっている実感としては、混生密生による多様性、無耕起・無肥料による植物の野生化、鳥さん・虫さんたちとの協働、などの小さくて大きな生態系の恵み。

協生農法(およびシネコカルチャー)について
「協生農法(シネコカルチャー)」は、食糧生産と環境破壊のトレードオフや、人か自然かの二元論を乗り越えて、生態系が本来持つ力を多面的・総合的に活用する生態系構築技術(詳細はSony CSLのHP )。学術的には、人の営みが生態系構築および生物多様性の回復に貢献していく「拡張生態系」という考え方に根ざしています。(株)桜自然塾の大塚隆氏によって原型が創られ、Sony CSLの舩橋真俊氏によって学術的定式化がなされています。

ご興味ある方はEcological Memesで開催しているセッションの様子や記事もご覧ください。
生態系の“あいだ”を回復・構築する「協生農法」とは?
地球の生態系に包摂された生命として人はどう生きるのか 〜自然と人の“あいだ”を取り戻す協生農法〜
EMF21レポート② シネコカルチャー(協生農法)とは何か【前編】
人間と自然の共繁栄のかたち。生態系を拡張させる「協生農法」の実践
・拡張生態系のパラダイム – シネコカルチャーの社会実装の契機をさぐる-(舩橋真俊氏) 

【シネコカルチャー実験記録の記事一覧】
耕作放棄地で協生農法をはじめました[シネコカルチャー実験記録①]
植物は生長に必要な物資を自ら調達する~横に伸びるトマトと協生農法実践マニュアル~[シネコカルチャー実験記録②]
遠野で協生農園を訪問。美しき緑の焚き火。[シネコカルチャー実験記録③]
畝をつくらない区画をつくってみた。[シネコカルチャー実験記録④]
結実過程のドラマ。オクラ、ピーマン、トマト、ジャガイモほか。[シネコカルチャー実験記録④]
全36科87種。Scrapboxで協生菜園の植生リストをつくってみました。[シネコカルチャー実験記録⑤]
二子玉川のコミュニティ畑プロジェクト「タマリバタケ」で協生農法はじまります [シネコカルチャー実験記録⑥]
ベランダでもできる小さな生態系観察。協生プランターのすすめ [シネコカルチャー実験記録⑦]
種から種へ。自家採種を通じてみえてくる植物の姿と枯れの凄み。[シネコカルチャー実験記録⑧]
タマリバタケの協生菜園のその後<秋分〜冬至>[シネコカルチャー実験記録⑨]
協生菜園で育てた蓼藍で生葉染め、そして種取り。植物の生命力を身にまとう。[シネコカルチャー実験記録10]
協生菜園に春がきた<タマリバタケの冬至〜春分>[シネコカルチャー実験記録11]
協生農法の生みの親・野人ムーさんのところに行ってきました[シネコカルチャー実験記録12]
無肥料・無農薬でも虫に食われないのはなぜか。混生密生の多様性がもたらす縁起と恵みの実感。[シネコカルチャー実験記録13]
埼玉・春日部の農園で協生農法をご一緒にやりたい方を募集しています。[シネコカルチャー実験記録14]
春日部にて協生圃場プロジェクトがスタート。秋分の集いにて[シネコカルチャー実験記録15]
不耕起栽培、ゲイブ・ブラウンの土を育てる、拡張生態系における人の役割と希望。
混生密生の世界と収穫による生態系への介入[協生農法実験記録17]
かすかべ協生農園のお野菜詰め合わせセット販売
※このブログは、個人の実験的な観察・実践記録であり、公式なやり方や内容を記載しているものではありません。

一つは密生混生による多様性。

実感として混植の方が単一種で育てるよりもはるかに健やかに育つ。肥料で大きく肥大化させるわけではないので、必ずしも大きくなるわけではないけれど、生命力みなぎる感じが全然違う。岡本よりたかさんもおっしゃっていた、不自然に大きくしない(肥大化させない)のが大事というのを最近すごく感じる。

あと、物理的にも支え合うので風の影響なども受けづらい。もちろん密が好きな植物もいればそうでない植物もいるし、日当たりが好きな植物もあれば日陰を好む植物もいる。それも含めて植物たちが、生態系が自ら選んでいく。

例えば、下の写真の区画に生えているのは、

・キク科(レタス、春菊)、ナスタチウム、シソ科(バジル)、ナス科、セリ科(人参、セロリ、パクチー)→虫除け

・ヒガンバナ科(ネギ、ニラ、玉ねぎ、らっきょう)→土壌改善

・アブラナ(小松菜、白菜、青梗菜)、ヒユ科(ほうれん草)→有機酸

・マメ科(いんげん、空豆、シロツメクサ、カラスノエンドウ等)→窒素固定

あたり。そこに果樹(ここは無花果)が入ってくる。
いわゆるコンパニオンプランツの、生態系バージョンという感じで、個別の関係や相性が絡まり合って、相互作用の中で全体の系をなす、まさに縁起の世界なのだということをじわじわと感じている。船橋さんが協生農法は生態学や複雑系科学のアプローチなのだと仰っていたのも合点がいく。

二つ目は、それと連動して、益虫はじめ様々な昆虫がかなり増えてきたこと。

ヨトウムシの卵がくっついていたり、ナガメ、ハモグリバエ、カメムシ、もちろんアブラムシも他にもたくさんもちろんいるのですが、それ以上にてんとう虫やクモやカマキリやハチやアブなど彼らの天敵がたくさんきてくれるので、何かが増えすぎるということがない。先日は小学二年生の女の子が、ナナホシテントウの赤ちゃん〜幼虫〜成虫全部いるねー!とみつけてくれた。

大地の再生の矢野さんの言葉を借りれば、常に何かが不足しているのが生態系。それこそが多様性によって生み出される動的な均衡なのではないだろうか。

雑草とくくられるようなたくさんの草も一緒に生えているので、バンカープランツやおとり作物的な役割を果たしてくれている。空豆に絡まるカラスノエンドウがアブラ虫を大量にひきつけてくれているのをみつけたときは、そのおかげでそら豆をいただくことができるのかと感動した。

3つ目は、無肥料・無耕起に伴う野菜の野生化。

協生菜園は無耕起で、土づくりの一切も草木と土壌の微生物たちに委ねている。最近は畝立てすらしないやり方を実験している。(耕作放棄地でやっていた時は元々畑だったしその土壌のおかげもあるかなと思っていたのだけど、ここは元宅地。土も植物もそもそも人が育てられるようなものではない、というムーさんの言葉を思い出す)

そうした中で、野菜はなんだか力強いというかワイルドに育っていく。
こちらのトマトの話などもまさにそう。

植物は生長に必要な物資を自ら調達する~横に伸びるトマトと協生農法実践マニュアル~[協生農法実験記録②]

あと、不耕起栽培は炭素固定という観点からも重要で。

耕さない農法というのは、土壌の炭素固定をしてくれるので、気候変動に対する解決策として国際的にも注目が集まっています。「4パーミル・イニシアチブ」と呼ばれているもの。

「4パーミル・イニシアチブ」推進のためには、特に日本では田畑を耕すこと(や有機肥料)への強烈な固定概念から自由になることが前提として必要になってくるのではないかと思っていますが、協生農法や稲の多年草化栽培はそうしたテーマともつながる営みだと考えています。

とはいえ、まだこの季節なので、本番はむしろこれから。
引き続き実験と観察は続きます。

下の写真は空豆に絡まりながらアブラ虫を大量にひきつけてくれていたカラスノエンドウ。
菜園をみにいくと必ず一足先にてんとう虫さんがアブラムシパトロールをしてくれていたりして、
多種多様な生命の連環の中で繰り広げられる一つ一つのドラマ、些細な一瞬一瞬にいちいち感動している。

そんな協生農法の日常。

Photo by Naoki Kaji
(昆虫の写真は除く)

協生農法(およびシネコカルチャー)について
「協生農法(シネコカルチャー)」は、食糧生産と環境破壊のトレードオフや、人か自然かの二元論を乗り越えて、生態系が本来持つ力を多面的・総合的に活用する生態系構築技術(詳細はSony CSLのHP )。学術的には、人の営みが生態系構築および生物多様性の回復に貢献していく「拡張生態系」という考え方に根ざしています。(株)桜自然塾の大塚隆氏によって原型が創られ、Sony CSLの舩橋真俊氏によって学術的定式化がなされています。

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※このブログは、個人の実験的な観察・実践記録であり、公式なやり方や内容を記載しているものではありません。