共創型デザインファームbiotopeに参画しました

共創型デザインファームbiotopeに参画しました

世界中から企業イノベーターが集まるイントラプレナーシップカンファレンスで感じたエッセンスを「イノベーションを持続的に生み出し続けるために求められる視点転換」というテーマでメディアに連載いただいています。

◾︎「イントラプレナーシップ・カンファレンス2016」のエッセンス Vol.1
 
 
そんな中、読んで下さった方から「面白そうだけど、ところで今なにしてるの?」「あれ、bebitにいたんじゃなかったの?」といったご連絡もいただき、そういえばbiotopeに参画したことも含めてちゃんとお伝えできていなかったので、だいぶ時間が経ってしまったのですがこの場を借りて^_^
 
現在はbiotopeという共創型のデザインファームで仕事をしています。
 
企業の新規事業開発やR&D、あるいは経営企画の方々とのお仕事が多いのですが、顧客起点での新規商品やサービスの開発から部門横断型での組織変革やビジョンデザイン、企業横断でのオープンイノベーションやIoT時代のビジネス探索プロジェクトの共創ファシリテートなどなど、同時並行的に様々な業界・タイプの取り組みをさせていただいています。
 
立ち上げ期の怒涛なジャーニーの真っ只中に3人目として飛び込むというご縁をいただいたこともあり、霧がかる荒野を駆け抜けるような日々が続いていますが、
本当に素敵な人達と機会に恵まれて、この上ない環境で楽しく刺激的な生活をしていますm_ _m
 
企業の事業開発やイノベーション創造の領域に軸足を移したのは、何かを創造していくことは個人が自分自身と深くつながった営みをつくりだしていくためのすごく大事な機会だと思っているから。(単純に僕が新しいことするのが好きだというのもありますが)。そしてそれが、組織や社会の変容の始まりだと思うから。
 
これだけの変化とネットワークの時代にことを為すには、時流を捉えたタイミングと周囲の人を巻き込むビジョンとエネルギーが欠かせないし、そうした道のりの中で足を進めるためには、少し肩の力を抜いて立ち止まり、自分が今この世界をどのように感じ、何を大切にして生きているのか、ということを確認していくほかない。そして、そうした旅路の中で紡がれた自分と組織と社会をつなぐ物語によって、周囲の人の共感が生まれ、組織や社会が動き出す。
 
創造性を引き出しながら、知の分解と再統合をリーンに繰り返して新たな知を蘇生をしていくデザイン思考や、様々なつながりや関係性の全体を眺めた上でインパクトのツボを見極めていくシステム思考、そして生身の人間同士の共振を通じて、創発や変容の媒介となる場を生み出し、組織や社会にインパクトを広げていく共創型ファシリテーション。
 
今何をやっているのと聞かれても何と応えて良いのかわあらないのですが(時間とともに変わっていくと思うのですが)、言葉にするとしたら、これまで培ってきたそうした技術を組み合わせながら、組織や社会に対して思いや情熱を持った人からビジョンや構想を引き出し、周囲を巻き込み、心と頭と体をフル稼働させながらカタチにしていく仕事。そして、ビジネスの文脈では切り離されてしまいがちな、だけれど本当はしこたまインパクトのある、個々人の思いやオーセンティシティをちゃんと紡いでいけたらいいなと。アフォーダンス的な世界観で言えば、待ち望む未来や機会は、自分自身の働きかけと世界との相互作用の中で結果として生じていくものだと思うのだけど、感覚を開いて、自分と周りの環境をつぶさに観察し、気付き続けていくことで、意図や方向性は自ずと現れてくる。
 
今回の記事で書いているイントラプレナーシップの根っこもそこなんです。
持続可能でインパクトのある変革は、自分自身のインナーリソース(感性とか気づきとか勇気とか感謝とか偏愛とか)や関係資本を創造的に活かしていくことから始まるのだと思うし、それは本当は誰もが持っている力。そうしたメンタルモデルが変わらないまま、デザイン思考やらオープンイノベーションと言っていても仕方がない。
 
そして幸いなことに、これだけ急激な変化の時代の中では、中央集権的な管理(意思決定)モデルではない新たなあり方が求められていて、ビジネスの文脈でも、次の未来を切り開いていく自律分散的な戦略的ドライバーとしてイントラプレナーの重要性がどんどん高まってきている。僕はずっと(今は機能的に分断してしまっている)事業創造と人材開発の領域は融合していくということを言っているのですが、今回のイントラプレナーシップカンファレンスでも(もちろん日本でも)まさにその兆しが起こりつつあって。思った以上にイノベーション創造と組織変革の知の統合が進んでいて、イノベーションはもはや、個人や組織のトランジッション(移行)やトランスフォーメーション(変革)抜きには語れなくなっている。(ソーシャルイノベーションの界隈ではずっと言われてきたことがビジネスの世界でも起こり始めている)
 
結局は、人。どんなに指数関数的に進化をしていくテクノロジーが時代の変化を牽引したとしても、だからこそ何を大切にしたいかというビジョンや世界観がより大切になる時代。今必要とされているのは、人工知能で仕事が奪われるのか否かの議論の先に、次の未来のビジョンを描ける人だと思うし、組織としても、自分自身の価値観に基づいてオーセンティックに生きる個人が活躍する自律分散型の事業創造の場を、どのように生み出し、組織全体としてのインパクトを高め、次の未来を切り開いていくのかということが問われているのだと思います。(今回のイントラプレナーシップ連載でも、そうした兆しを組織づくりや戦略、そして個人の観点から紹介していくので、ぜひ読んでみてください。3月にイベントもやります)
 
長くなってしまいましたが、というわけで、僕は相変わらずマイペースにやっております。
代表の佐宗さんとは、随分と前にHUBのサンフランシスコをご紹介したご縁もありながら、独立直後ぐらいのタイミングに初めてちゃんとお話をするようになったのですが、当時僕が手がけていたU理論的なイントラプレナーシッププログラムや事業創造の場にこそオーセンティシティを持ち込んでいきたいという話を聞いてもらいながら、佐宗さんの驚異的な知の幅と懐の深さと社会のだいぶ先を行くビジョンに、ああ次に仕事をするなら絶対この人だと、二子玉川の焼き鳥屋さんで確信したのでした。
 
僕の好きな言葉で「人はなぜ気づかなかったのだろう。清浄と汚濁こそ生命だということに」というナウシカの言葉があるのですが、
biotopeの思想はそんな感じなんです。笑 泥臭くて有機的で、生物的で生命観のある感覚を大切にしていることとか、頭と心と体を統合したホリスティックな視点とか。僕が子供の頃からやっていた野口整体の本貸してとか言われたり。
 
ティクナットハンさんの If you are a poet, you will see clearly that there is a cloud floating in this sheet of paper(あなたが詩人であるなら、この一枚の紙の中に雲が浮かんでいるのを見るでしょう)じゃないけど、それくらいの幅とスペースを持って、つながりをじっくりと紡ぎながら仕事をしていきたいし、biotopeは僕にとってそういうところ。
 
bebit時代に鍛えられた顧客中心デザインや共創型ファシリテーション、組織変革の考え方やスキルセットは血肉となっているし、組織や社会の次の未来を描く人たちとの仕事は、僕の原点であるHUBでの原体験と近い感覚があって様々なことを思い出しては感謝するばかり。これまでの経験やスキルセットを総動員しつつ、未知の新たな領域へ身体ごと突っ込んで失敗と学びを繰り返しながら、たくさんのギフトを頂いています。
 
同窓会などに行くと必ず聞かれる、あいつは今一体何をやっているのか問題は相変わらずですが、めげずにゆったりと丁寧にやっていきたいと思います。