自分らしくオーセンティックに生きるための知恵(あなたは、なぜ、つながれないのか:ラポールと身体知 / 高石宏輔)

自分らしくオーセンティックに生きるための知恵(あなたは、なぜ、つながれないのか:ラポールと身体知 / 高石宏輔)

カウンセラーでもありナンパ師でもある高石さんの著書。
彼の世界観を表現したエッセイのような一冊。巷によくある自己啓発書のようなこうすれば上手くいく的なことは書いていない。

・パターンを壊すことからコミュニケーションを始める

・焦ったり、相手の顔色をうかがったりせず、自分の気持ちや思い浮かぶことに集中して意識をむけてみると、話したいことがイメージとして次第に浮かび上がってくる。

・大事なのは、自分自身がさまざまな機会に触れて、新しい感覚が生まれることを楽しみにしているかどうかだ

・感じ方が変わったことを少しでも認識することが、自分の変化を作り出すための重要な一歩になる。

・物事に対しても、他人に対しても、完全な悩みの解消を望まず、それらに対する自分の感じ方がどのように変わっているか、丁寧に観察してみることが大事だ。


自分の無意識の癖や反応を丁寧に観察しながら、向き合っていく。僕の展開しているオーセンティックリーダーシッププログラムの世界観ともかなりシンクロするのが面白かった。彼の言葉は、人と人との感情的・身体的なつながりについて、改めて多くの気づきを与えてくれる。


(以下、メモ)

・パターンを壊すことからコミュニケーションを始める(p6)

パターン化している生活を送っている自分の、自覚していない動きの癖、その時の自分の気持ちや、見過ごしている相手の反応・・・そうしたものを細かく見えていけばいくほど、自分の自覚していなかった自分を発見できる。今の自分がどのようなパターンんのコミュニケーションをとり続けているのかということを知ると、自然と振る舞いが変わる。無意味なこと、無駄なこと、逆効果なこと、自分を不幸にすることでしかないことを、良かれを思って進んでやってしまっていることに気がつく。

話すことについて

・自分の中のイメージを捉えるところから話が始まる(p42)

人と話していると、ふと思い浮かぶことがある。まだはっきりとは見えないがおぼろげに見えかけていて、掴みかけているもの。それは、はっきりとするまでじっと待つことができれば、漠然としたイメージから話のきっかけとなる一つの明確なイメージや言葉が見えてくる。~(中略)~焦ったり、相手の顔色をうかがったりせず、自分の気持ちや思い浮かぶことに集中して意識をむけてみると、話したいことがイメージとして次第に浮かび上がってくる。

ある時、僕が尊敬していてどうしても話したいと思っていた人が、沈黙が生まれたときに瞑想のように自分の内に集中していった。いつもなら僕は沈黙を恐れて何かをしゃべってしまっていただろう。しかし、彼の集中した様子に圧倒されて、黙ってその様子を見つめていた。

彼は、不透明な水の中に揺蕩っているものを探して捉えるように、静かに瞑想的な様子で、自分の心の中を探っている。じっと止まったまま、目の前の僕のことは木に変えk図に、そのことに集中していた。その静かな姿に魅了されて、僕の身体も動かずに止まっていた。何かが見つかったのか、彼は「うん」と頷いた。それからポツリポツリと言葉を置いていき、半分夢見るような目で、しかし僕のことはしっかりと見据えて話し始めた。その話は、彼が僕を前にして、精神を集中して捉えて来てくれたものであると感じられた。彼の、彼自身の中にあるイメージを丁寧に言葉インして、彼と僕の間に置いていくような話し方だった。

・新しい感覚が生まれるのを待つ(p119)

~中略~大事なのは、自分自身がさまざまな機会に触れて、新しい感覚が生まれることを楽しみにしているかどうかだ。楽しみにしていると、自ずと新しい感覚が生まれてことに注意深くなる。思った通りの感覚を引き起こしてもらおうと他人任せに期待していると、期待通りのことが起きなかったことを残念に思ったり、醜いときには怒ったりしてしまう。そのときには、はじめに期待した感覚にしか意識が向けられていない。そうなると、それとは別に自分の中に生まれている感覚に気がつけなくなったしまう。ある機会に触れて、良いものでも悪いものでも、自分にどんな反応が起こるかなと構えずに楽しみにしていることが新しい感覚の芽生えを見るコツだ。そうすると、自分では思ったことのない反応が自分の中で起こるのが見つかるかもしれない。

~中略~ 頑張ろうとも思わず、自然とやりたくなるときがある。もし人にやらなくてもいいよと止められたら嫌な気持ちになるような、そんな感じだ。自分の中で新しい感覚が生まれると、それまではやりたいと思わなかったものをやりたいと思うようになる。その時に自分が何か変わったのだなとも思う。

・感覚・感情の解体と再構築(p139)

誰でもハッと何かに気がついたとき、取り掛かれなかったことに取り掛かれるようになったことがあると思う。勇気を出すか出さないかではなく、何かが欠けているから、取り掛ろうとは思えないだけなのだ。その欠けていることを無視して、勇気を出してやろうとすれば、無理をして、緊張してしまう。

もちろん、そうやって勇気を出すことが悪いというわけではない。それができるのなら、そうしたっていいだろう。だけど、勇気を出すか出さないか、やるかやらないかで躊躇し続けているのなら、自分を観察できている状態にする方がすんなりと進めるようになる。

なぜなら、勇気を出そう、やろう、頑張ろうとしているときには、身体が緊張して踏み出せなくなっているからだ。もちろん、その緊張を無理して破ってでも行動すれば、緊張はその行動の中でなくなっていくこともある。しかし、それは、よほど特別なもの、どうしてもやりたいことでなければ、なかなかやろうとしてできるものではない。

考え込んで緊張している状態から、自分が感じられていないものを感じようとすると緊張が解れて、やりたいと思ったり、別のやり方をしようというアイデアも生まれたりする。

ナンパを講習していたときによく相談された悩みが「声がかけられない」だ。たいていの場合、そういう悩みを言ってくる人は、声をかける準備が本人の中でできていない。「なんでかけられないのか」と聞いていくと、自分の服装に満足していなかったり、自分の仕事に自信を持てていなかったりすることが理由になっている。そういう人はそれでも無理をして声をかければ、きっと自分が変わるとおもっている。

しかし、冷静に考えれば、無理にナンパをするよりも、服装を満足いくものにしたり、仕事を自分で納得がいくくらいまでやってみたりした方が、いつまでも「声がかけられない」という悩みを抱え続けながら、何もしないよりも良いのではないだろうか。

踏み出せないのは、自分の本心に「まだ踏み出すには足りていない」と言われているようなものだ。そういう時は自分に問いかけてみると答えがでるかもしれない。「あと最低限何があれば、自分は踏み出すことができるだろうか」と。

・感じ方がかわったことを確認してみる(p141)

感じ方が変わったことを少しでも認識することが、自分の変化を作り出すための重要な一歩になる。

なかなか変わらないなとおもっている人ほど、自分の変化を認めようとしない。大きく変わらないと変化とは認めないことが多い。

「自分は小さい部分でも良いから変わったことはないだろうか」と自分に問いかけてみると何か発見があるかもしれない。

そもそも毎日変わらないことの方がありえないことだ。それくらい小さいものでも構わない。「自分は少しづつ変わりづつけている」と感じられるだけでも、もっと変わりたいという気持ちが生まれる。

例えば、感じ方が変わった時、取り組むべき物事に対して悩んでいる場合は、そのことを冷静に見られたり、今までとは別のアイデアが生まれてきたりする。他人に対して悩んでいる場合は、その人のことを感情的にならずに少し冷静に考えられるようになったりする。

~中略~このとき、物事に対しても、他人に対しても、完全な悩みの解消を望まず、それらに対する自分の感じ方がどのように変わっているか、丁寧に観察してみることが大事だ。「別にそんなに変わっていないだろう」と思って感じれば、感じ方は荒くなるが、「少しでもいいから、どんな風に良くなっているか」と思えば感じ方は細かくなり、洞察も冷静に、細かくなっていく。