協生菜園の春。タマリバタケ日記(冬至〜春分)[シネコカルチャー実験記録11]
二子玉川・上野毛の空き地をコミュニティ畑にするご近所プロジェクト「タマリバタケ」
協生農法を実践している協生菜園のその後の記録。冬至〜春分。
協生農法(およびシネコカルチャー)について
「協生農法(シネコカルチャー)」は、食糧生産と環境破壊のトレードオフや、人か自然かの二元論を乗り越えて、生態系が本来持つ力を多面的・総合的に活用する生態系構築技術(詳細はSony CSLのHP )。学術的には、人の営みが生態系構築および生物多様性の回復に貢献していく「拡張生態系」という考え方に根ざしています。(株)桜自然塾の大塚隆氏によって原型が創られ、Sony CSLの舩橋真俊氏によって学術的定式化がなされています。
ご興味ある方はEcological Memesで開催しているセッションの様子や記事もご覧ください。
・生態系の“あいだ”を回復・構築する「協生農法」とは?
・地球の生態系に包摂された生命として人はどう生きるのか 〜自然と人の“あいだ”を取り戻す協生農法〜
・EMF21レポート② シネコカルチャー(協生農法)とは何か【前編】
・人間と自然の共繁栄のかたち。生態系を拡張させる「協生農法」の実践
・拡張生態系のパラダイム – シネコカルチャーの社会実装の契機をさぐる-(舩橋真俊氏)
【シネコカルチャー実験記録の記事一覧】
・耕作放棄地で協生農法をはじめました[シネコカルチャー実験記録①]
・植物は生長に必要な物資を自ら調達する~横に伸びるトマトと協生農法実践マニュアル~[シネコカルチャー実験記録②]
・遠野で協生農園を訪問。美しき緑の焚き火。[シネコカルチャー実験記録③]
・畝をつくらない区画をつくってみた。[シネコカルチャー実験記録④]
・結実過程のドラマ。オクラ、ピーマン、トマト、ジャガイモほか。[シネコカルチャー実験記録④]
・全36科87種。Scrapboxで協生菜園の植生リストをつくってみました。[シネコカルチャー実験記録⑤]
・二子玉川のコミュニティ畑プロジェクト「タマリバタケ」で協生農法はじまります [シネコカルチャー実験記録⑥]
・ベランダでもできる小さな生態系観察。協生プランターのすすめ [シネコカルチャー実験記録⑦]
・種から種へ。自家採種を通じてみえてくる植物の姿と枯れの凄み。[シネコカルチャー実験記録⑧]
・タマリバタケの協生菜園のその後<秋分〜冬至>[シネコカルチャー実験記録⑨]
・協生菜園で育てた蓼藍で生葉染め、そして種取り。植物の生命力を身にまとう。[シネコカルチャー実験記録10]
・協生菜園に春がきた<タマリバタケの冬至〜春分>[シネコカルチャー実験記録11]
・協生農法の生みの親・野人ムーさんのところに行ってきました[シネコカルチャー実験記録12]
・無肥料・無農薬でも虫に食われないのはなぜか。混生密生の多様性がもたらす縁起と恵みの実感。[シネコカルチャー実験記録13]
・埼玉・春日部の農園で協生農法をご一緒にやりたい方を募集しています。[シネコカルチャー実験記録14]
・春日部にて協生圃場プロジェクトがスタート。秋分の集いにて[シネコカルチャー実験記録15]
・不耕起栽培、ゲイブ・ブラウンの土を育てる、拡張生態系における人の役割と希望。
・混生密生の世界と収穫による生態系への介入[協生農法実験記録17]
・かすかべ協生農園のお野菜詰め合わせセット販売
※このブログは、個人の実験的な観察・実践記録であり、公式なやり方や内容を記載しているものではありません。
1月7日
年明けから珍しく雪。
ここまで積もったのは数年ぶり。
タマリバタケの協生菜園もすっかり雪景色に。
雪の中から顔を出すスナップエンドウの愛らしさ。
その様子をコウキさんが描いてくださった絵がまた素敵で。
1月27日
蕗のとうがではじめる。
タマリバタケの斜面に群生していて楽しみにしていた蕗のつぼみがもうではじめてきたので
いくつか味見で天ぷらに。といっても米油でほぼ素揚げなのでさっぱり。
冬は生命がエネルギーをフユ(増ゆ)季節。まだつぼみのものでもぐっと苦いんだけど、身体はこれこれ!と言っている。
冬眠明けのクマもまずフキノトウを食べるそう。この苦味が毒素を出して春の向けて身体を覚ましてくれるのだとか。
うちの前のものはもう少し。花ひらいたらふき味噌にもしたいなー。
2月2日
協生畑にみなさん色々苗を持ち込んでくださったり、
ラディッシュやかぶやほうれん草や大根やらを収穫。
子どもたちも斜面に図らずして生えてきた大根頑張って引き抜いたり、蕗のとう夢中になって摘んだり、いい表情でした。協生畑も有機畑も農薬・化学肥料フリーなので子どもたちもそのまま安心してかぶりつけるし、美味しい。(みなさん、蕗のとう持ち帰ってばっけ味噌作られててめちゃくちゃ美味しそうだった!)
そしてうちも長らくお世話になっているLFCコンポストさんとのコラボもはじまり、区内の他のエリアともつながった循環の仕組みの実験(?)がスタート。都市におけるコンポスト堆肥の出口課題がこんな風に小さくそれぞれの活動の連環で自然と解消されていくのはとてもいいなぁ。今後キエーロ的なものをつくる予定?(たぶん)。区との連携も進むことを期待したい。
2月17日
関東では珍しい在来種のシロバナタンポポがタマリバタケで開花。
そのままに放っておけない現代社会では何かとすぐに開発されてしまうので、こうした在来種もそっと守っていける場所が増えるといいな。
そら豆もスナップエンドウも寒さに強い10-20cmくらいのちょうどいい苗丈で、無事越冬してくれた様子。
先週末は地域の方が持ってきてくださったじゃがいもの種イモ植えたり、古代とうもろこしの種取りしたり、中部小麦の発芽を確認したり(この時期でどう育つかはわからないけど観察してみる)。協生畑も春はすぐそこ。
3月12日
すっかり春めいてきたタマリバタケ。
そら豆、スナップエンドウ、菜花、蕗のとう、ブルーベリー、イチジク。越冬してくれたセロリもお仲間に。
今日も協生畑に種まきしたり、夏野菜の育苗準備をしたり。
苗づくりもやりたい方募集したところ多くの方が手を挙げてくださって嬉しい。資材をお渡しして、それぞれおうちで育苗して植え付けの時期に持ち寄る地域参加型スタイル。
今年は初年度なので、うちで自家採種したものと購入した有機固定種の種。来年以降はここで採取した種をつないでいけるといいなー。
先月はジューンベリーのシンボルツリーが仲間入りしたり、今日はパパさんチームの頑張りでついにパーゴラも完成!
温かな春の陽気に冬籠もりしていた虫たちも姿をみせ、菜花の周りを蝶々や蜂も舞いはじめたり。人も他の生き物たちもただ共に一緒に居られる場所になるといい。
協生農法では、人が持ち込めるのは種と苗だけという原則があるのですが、収穫したり他の生き物が食べてくれた時に補充できるように、常に苗をスタンバイさせておくのもとても大事だったりします。
今年は初年度なので、うちで自家採種したものと購入した有機固定種の種。
来年以降はここで採取した種をつないでいけるといいな。
自家採種についてはこちらにもまとめてあります↓↓↓
種から種へ。自家採種を通じてみえてくる植物の姿と枯れの凄み。[シネコカルチャー実験記録⑧]
3月23日
ひらき出すブルーベリーの芽。
はちきれんばかりのネギ坊主。
エンドウの赤ちゃん鞘も膨らんできた。
冬(増ゆ)を経て春(張る)のエネルギーが溢れ出す生命世界。
協生農法は多種の種を混ぜて高密度でばら撒きするのだけれど、それぞれのスピードやタイミングで芽吹いてくるので、これからそれが重奏的に重なっていく様子が何度みてもとても楽しみ。ほうれん草、小松菜、青梗菜もだいぶ大きくなってきました。
スナップエンドウのいくつか芽かきのお手入れを少しだけ。
あとアスパラガスの苗も植え付けました。
4月3日
春を食らう。
タマリバタケの協生畑で、摘果したスナップエンドウにそのままかぶりつく娘。
緑の野菜あまり食べてくれないのに、これは甘くて美味しー!とすっかりお気に召したようで帰り道もポリポリ。マメ科はやっぱり採れたてにかぎる。
蕗の茎と葉も、佃煮や味噌にしていただく。苦味に身体が目覚め喜んでいるのは年のせいなのか、、
大きくなりすぎた小松菜、ほうれん草は間引き収穫して白味噌和えに。頂いた根三つ葉のおひたし、うちの協生菜園で取れた春菊やラディッシュのぬか漬け、あと葱坊主もいくつか。熊本は不知火で漁師さんに分けて頂いた太刀魚に、春になり動き出した協生プランターの山椒の木の芽醤油が相性抜群。娘もあの時のお魚ー!と覚えていたみたい。
春苦味、身体を目覚めさせてくれる。
そして白味噌が合う…