目にみえない存在たちへの畏怖。ぬか床や変形菌に関するおすすめ小説(沼地のある森を抜けて / 梨木香歩, 蛍女 / 藤崎慎吾)

目にみえない存在たちへの畏怖。ぬか床や変形菌に関するおすすめ小説(沼地のある森を抜けて / 梨木香歩, 蛍女 / 藤崎慎吾)

はじまりは、「ぬかどこ」だった。 先祖伝来のぬか床が、うめくのだーーー 最近、ぬか床や菌や微生物の話ばかりしているせいか、ぬか床ライフを楽しむためのおすすめ本ありますかと聞いていただくことが増えたのですが、いつもおすすめ…

菌の声。縁起としての発酵。生命の連環への入り口をひらく。(菌の声を聴け / 渡邊格・麻里子)

菌の声。縁起としての発酵。生命の連環への入り口をひらく。(菌の声を聴け / 渡邊格・麻里子)

タルマーリーの渡邊さんの新著「菌の声を聴け」。 とても面白かった。 面白かったというか、面白いとかを超えて読んでいて胸が熱くなってしまった。 パンやビール、お酒作りなどとは繊細さが全く異なるのですが、日々ぬか床のお手入れ…

菌と共に暮らす。ぬか床にお手入れする共同体(ディスタントネイバーフッド)はじめます。

菌と共に暮らす。ぬか床にお手入れする共同体(ディスタントネイバーフッド)はじめます。

ぬか床のリズム、はじめます。ウェルビーイングの習慣化に挑戦するスタートアップNestoのKensuke Fujishiroにお声がけいただき、ぬか床のコミュニティ(リズム)をやることになりました。 菌と共に暮らす「ディス…

森のバロック②:分ける知性の呪縛から解放する「南方粘菌学」-枯れ木に花咲くを驚くより、生木に花咲くを驚け-

森のバロック②:分ける知性の呪縛から解放する「南方粘菌学」-枯れ木に花咲くを驚くより、生木に花咲くを驚け-

粘菌って菌類ですよね…? 南方熊楠は、博物学や民俗学の分野での近代日本の先駆者的存在であると同時に、生物学、特に粘菌研究者としても知られているわけなので、そういう話をしているとたまに聞かれることがあります。 が、粘菌は菌…

安易な同調や対立ではなく、差異を差異のままにとどめておく力。信仰の尊さと盲目の危うさと。(鹿の王 水底の橋 / 上橋菜穂子)

安易な同調や対立ではなく、差異を差異のままにとどめておく力。信仰の尊さと盲目の危うさと。(鹿の王 水底の橋 / 上橋菜穂子)

上橋さんの物語はやっぱりやっぱり面白い。医療小説でありながら、ウイルスや菌のあり方を人の内側や社会と重ね合わせた前作で登場した、オタワル医術の名医ホッサルのその後を描いた続編「鹿の王 水底の橋」 最初は淡々と物語が進んで…

森のバロック①:南方マンダラの世界をのぞいてみる-無意識の集団記憶や共同幻想が生まれるメカニズム-

森のバロック①:南方マンダラの世界をのぞいてみる-無意識の集団記憶や共同幻想が生まれるメカニズム-

「わたしはこの本で、南方熊楠の生涯のうちで「最も深く体験されたもの」、それだけを注意深く取り出そうとした」 南方熊楠の偉人・奇人的人物像や客観的な経歴に関わる文献は多くあるが、論文や書簡に記載された言葉だけでなく、その内…

わかりあえなさから出発するための入門書(死の講義/橋爪大三郎)

わかりあえなさから出発するための入門書(死の講義/橋爪大三郎)

死への考察というよりも、人の生き死をテーマに、これまで人類に大きな影響を与えてきたキリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、儒教(・道教)、仏教(・神道)、の五つの宗教における死生観を整理してくれるような本でした。橋爪さん節…