目にみえない存在たちへの畏怖。ぬか床や変形菌に関するおすすめ小説(沼地のある森を抜けて / 梨木香歩, 蛍女 / 藤崎慎吾)
はじまりは、「ぬかどこ」だった。 先祖伝来のぬか床が、うめくのだーーー 最近、ぬか床や菌や微生物の話ばかりしているせいか、ぬか床ライフを楽しむためのおすすめ本ありますかと聞いていただくことが増えたのですが、いつもおすすめ…
37科87種。Scrapboxで協生菜園の植生リストをつくってみた。[協生農法実験記録⑤]
<追記録> 20210813:犬鬼灯(←有毒)、きゅうりぐさ追記(37科89種) 20210826:レモン(食べた種を蒔いていたもの)(37科90種) 新たな区画も増えて、種や苗で持ち込んだものや再生栽培、食べた後の種を…
菌の声。縁起としての発酵。生命の連環への入り口をひらく。(菌の声を聴け / 渡邊格・麻里子)
タルマーリーの渡邊さんの新著「菌の声を聴け」。 とても面白かった。 面白かったというか、面白いとかを超えて読んでいて胸が熱くなってしまった。 パンやビール、お酒作りなどとは繊細さが全く異なるのですが、日々ぬか床のお手入れ…
畝をつくらない区画をつくってみた[協生農法実験記録④]
前回書いたように遠野のkeiさんのところで色々学ばせていただいただので、早速うちの協生菜園でも色々実践してみることに。 まずは畝をつくらないシネコポータルづくり。 もともと畝をつくって実験していた場所を区画Aとして、畝を…
結実過程のドラマ。オクラ、ピーマン、トマト、ジャガイモほか[協生農法実験記録④]
雨上がりの朝陽に輝くヤマブドウが美しい。 パクチーの実、オクラ、赤紫蘇、行者大蒜、インゲン、枝豆、ピーマン、トマト、生姜(ミョウガ?)、じゃがいも。発芽から生長の過程もそうだけど、結実過程の観察本当に面白い。収穫してしま…
遠野で協生農園を訪問。美しき緑の焚き火。[協生農法実験記録③]
先日遠野を訪ねる機会があり、一社シネコカルチャーのkeiさん(マフさん)がやられている協生農園をみせていただきました。 まずは果樹を中心とした協生農法の最小ユニット、シネコポータル。通称、緑の焚き火。 一番おお!っとなっ…
菌と共に暮らす。ぬか床にお手入れする共同体(ディスタントネイバーフッド)はじめます。
ぬか床のリズム、はじめます。ウェルビーイングの習慣化に挑戦するスタートアップNestoのKensuke Fujishiroにお声がけいただき、ぬか床のコミュニティ(リズム)をやることになりました。 菌と共に暮らす「ディス…
植物は生長に必要な物資を自ら調達する~横に伸びるトマトと協生農法実践マニュアル~[協生農法実験記録②]
自宅前の耕作放棄地でスタートした協生農法。 オープンソースで公開されている「協生農法実践マニュアル」がとても面白く大変勉強になったので、いくつかメモしておきたいと思います。 植物は生長に必要な物資を自ら調達する。環境適応…
耕作放棄地で協生農法をはじめました[協生農法実験記録①]
「そこは土も日当たりも悪いから作物もなかなか育たねぇ場所だよ」 2019年のEcological Memes フォーラム「あいだの回復」でセッションをやっていただいて以来、すっかりファンになってしまい、まずは自分がやって…
森のバロック③:生命システムを内部から観ようとする南方生命論とオートポイエーシス -なぜ食べると食べられるは同じことなのか-
前回は熊楠と粘菌について書きました。 今回は、森のバロック第五章より、オートポイエーシス論なども参照しながら、そうした熊楠の生命論に迫っていきたいと思います。そこには、近現代社会システムが前提としてきた「自律的な主体」に…
森のバロック②:分ける知性の呪縛から解放する「南方粘菌学」-枯れ木に花咲くを驚くより、生木に花咲くを驚け-
粘菌って菌類ですよね…? 南方熊楠は、博物学や民俗学の分野での近代日本の先駆者的存在であると同時に、生物学、特に粘菌研究者としても知られているわけなので、そういう話をしているとたまに聞かれることがあります。 が、粘菌は菌…
安易な同調や対立ではなく、差異を差異のままにとどめておく力。信仰の尊さと盲目の危うさと。(鹿の王 水底の橋 / 上橋菜穂子)
上橋さんの物語はやっぱりやっぱり面白い。医療小説でありながら、ウイルスや菌のあり方を人の内側や社会と重ね合わせた前作で登場した、オタワル医術の名医ホッサルのその後を描いた続編「鹿の王 水底の橋」 最初は淡々と物語が進んで…
森のバロック①:南方マンダラの世界をのぞいてみる-無意識の集団記憶や共同幻想が生まれるメカニズム-
「わたしはこの本で、南方熊楠の生涯のうちで「最も深く体験されたもの」、それだけを注意深く取り出そうとした」 南方熊楠の偉人・奇人的人物像や客観的な経歴に関わる文献は多くあるが、論文や書簡に記載された言葉だけでなく、その内…
在る(Being)から生成へ(Becoming)〜新たな生命科学と利他、協創(亜種の起源 / 桜田一洋)〜
理化学研究所・桜田一洋さんの「亜種の起源〜苦しみは波のように〜」、素晴らしい本だった。 大まかな内容としては、生命進化の本質をダーウィンのいう「競争」ではなく、ウォレスのいう「協創」や「相互扶助」と捉えた上で、要素分解と…
わかりあえなさから出発するための入門書(死の講義/橋爪大三郎)
死への考察というよりも、人の生き死をテーマに、これまで人類に大きな影響を与えてきたキリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、儒教(・道教)、仏教(・神道)、の五つの宗教における死生観を整理してくれるような本でした。橋爪さん節…